【地毛でちょんまげ】月代(さかやき)を作ろう!!!

 

 

 

 

インターネットのみなさん、こんにちは。
まげメガネと申します。

 

突然ですが、本題に入る前に……

この熟語ををご存知でしょうか?

 

 

これは、さかやきと読みます。

 

かつて男性が結っていた、伝統的な髪型の総称、ちょんまげ。

ちょんまげの、「毛が剃られた頭頂部」月代(さかやき)と言います。

 

 

つきしろと読んで「月明かりで空が白く染まる様子」を指す事もありますが、今回は頭頂部の話として進めます。この記事の「月代」は全て「さかやき」と読んでください。

 

そもそも当時の男性は、どんな理由で頭頂部の毛だけを剃ったのでしょうか。

 

 

諸説ありますが……最も有力なのは、「兜による蒸れ」から頭皮を守る為というもの。

戦国時代において、機能性を重視した髪型として頭頂部を剃った訳ですね。

 

しかし内乱が収束し、合戦が減っていった江戸時代以降。

町人や商人も真似をし、文化として定着したそうです。

 

しかし明治時代に入り、近代化の波が押し寄せ……

1871年散髪脱刀令が布告。「髷を結わなくても良いよ」という内容の法令で、侍や町人で髷を結い、月代を剃る人々は次第に数を減らしていきました。

 

そして更に時代は流れ、令和に突入。

人々の価値観もすっかり変わり、地毛で月代を作る人はほぼいないとされていますが…

 

私、やってました。


侍キャラのコスプレをしたい」という動機で2年間髪を伸ばし、頭頂部だけ剃り上げたのが2016年の10月頃。


その後、コスプレだけではもったいないと浅草の土産物屋に転職。

「地毛ちょんまげの店員」は観光客の皆様に好評で…私自身も楽しく仕事をさせて頂きました。

 

…が、2020年の年明けから新型感染症が流行。

観光地である浅草での仕事が難しくなった為、転職を余儀なくされました。

 

そして2020年5月に地毛ちょんまげを卒業。

↑の写真は、転職時の証明写真です。

観光地でない土地で、過去のスキルを活かして再就職し、なんとか生活していたのですが……

 

髷を落としてから2年が経過。地毛がこんなにも伸びました。

ちょんまげを結うには長い髪が必要なのですが、これは十分な長さです。

 

 

もう、やっちゃおう!!!!!!!!!!!!

 

 

我慢なんねぇから!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

というわけで「人生2度目の月代」を作る為に、とある理容室を訪れました。

私が思う「月代を作る上で最適な理容室」です。

 

店主のまげろうさんは、「怖い妻に一矢報いたい」という理由ひとつで自身の頭に月代を作り、テレビ出演を果たした男。
その一矢、弩級

 

以後「ちょんまげの床屋さん」として30人以上の志願者に月代を作った「月代作りのプロ」です。
地域活性化活動にも精力的に取り組まれました。

 

ちなみに当時、奥様は「マジでふざけるな」と言ったそうですが、地域活性化に貢献するまげろうさんに一目置くようになったとの事。

そして現在は何故か金髪のイケオジパパさんです。まげろうさんも月代再開して欲しい〜

 

 

 

「ほんと久しぶりだね。2年前、ウチに断髪しに来て以来か…」

 

2020年のちょんまげ卒業時、ここに来ていた

「ですね、あの時は感染症もあって…まげ友たちを呼んで断髪式が出来なかったですからね…本当に無念でした…」

「だよね……。もっと大体的に断髪式みたいなのやりたかったね。
 じゃあ早速だけど、剃る範囲を決めよう」

 

 

月代を剃る範囲や結い方は、時代や流行、身分によって異なります。

歌舞伎や時代劇のカツラの場合だと、演目や役柄によってもバリエーションがあるそうで…本当に深い世界です。

今回の私の月代は、「江戸時代中期頃の町人」をイメージして範囲を調整します。

「浅草の土産物屋で働き、下町に住んでいた」という「リアル町人ムーブ」をしていたのでピッタリでしょう。

 

また、「まげ友」の月代は比較的狭い「幕末風」の方が多いので、その中で個性を出したい気持ちもあり選びました。

 

 

※スクショ内の地毛ちょんまげ達からの掲載許可済み

 

因みに私は、現役地毛ちょんまげ&その卒業生が集うLINEグループを主催しています。
リアルまげ達の情報交換、楽し過ぎる……

 

 

 

「こんなもんかな?」

 

「あーーーーこれくらい…いや、もうちょい下ですね」
「あの時の月代、そんなに広かったっけ??」

「最初は狭めだったんですが、途中から広くしたいなって思うようになって…
おでこの生え際のラインまで、自分で剃って広げたんですよね」

「そんな事してたんだ」

「商人っぽくしたかったんで……。
当時、幕末の武士感を避けたかったんですよね。
そしてぶっちゃけ、毛量減らした方がシャンプーとか楽だったんで…」

 

「当時」とか「だった」とか言ってたら懐かしくなってきたなぁ…」

 

幻月代痛(さかやきファントムペイン)……

 

「なんて?」
幻月代痛(さかやきファントムペインです。今は無い筈の月代が痛むんです。」

 

 


そうこう言っているうちに、まげろうさんの手により手際よく髪の毛がまとまっていきます。

「あーーーーーーーこれくらいです!!!思い出してきました、昔このへんで結ってたなぁ」

「よし!じゃあ刈ろう!!!!」

 

「いざ刈り取るってなると全然名残惜しくないな……やっぱ過去に一回やってるからですかね…」

「ちょんまげ辞めた人が、もっかい髪伸ばしてちょんまげに戻るケースってレアなんだよね。
「髷を続けてる人」「辞めて戻ってこない人」しかいないから」

「確かに、自分以外だと一人しか知りませんね…辞めてから戻ってきた方…」

 

 

月代の範囲も定まった所で…いよいよです。

ロン毛状態でいきなり剃刀を入れる事は難しいので、まずはバリカンで刈り取ります。 

 



「では…よろしくお願いします!!」

はい…!!

 

 

うぉおおお!!!キタキタキタ!!!

「うぉ……頭が軽くなってくのがわかる……」

 

頭頂部の軽量化への感動も束の間……
1分ほどでバリカンでの刈り取りが終わりました。

 

バリカンを入れただけだと、頭皮はいわゆる五厘刈り状態。

キレイにするために、剃刀で剃ってもらいます。

 



アッ蒸しタオル、 めっちゃ気持ちいい…………頭皮を触られる感覚、久しぶりだなぁ……

 

最初に月代作った時は、ウチじゃないとこでやったんだよね。

 

はい、2016年かな?地元の床屋で……。

でもなんか頭皮に剃刀入れられないって言われて、バリカンだけの五厘刈り状態で帰った記憶があります。

 

 

話をお聞きした所、剃刀を使える「理容師」と、パーマや髪色の染めを行える「美容師」の違いがあったとの事。

まげろうさんは理容師資格を持っているので、頭皮の剃り込みもお手のものです。

 

 



頭皮にもニキビみたいなの出来ちゃうから……そこは避けて剃るね。

血出ちゃうかもしれないから。

 

 

お気遣い、痛み入ります…………やさし…………

 

そしてこの頭皮剃り、めっちゃ気持ちいいです。

皆さんも是非とも月代を作り、体験しましょう…!!

 

15分ほどショリショリしてもらったら…………

 



完成です!!

この頭の軽さが懐かしいですね……。

 



境目、緩衝地帯作っといたよ。

 

あーーーーーこれめっちゃ助かりますね……

自分でカミソリで剃る時、これがあると手触りで境目がわかるから剃り過ぎを防げるんですよね……さすがプロ…………

 

細かい心遣いにこのツヤ、キレイな頭皮……。

まげろうさん、本当にありがとうございました!

 

 

以上、まげメガネの「人生2度目の月代作り」レポートでした。

 

これからはこの地毛ちょんまげを活かし…

髷の結い方や江戸文化の体験レポなどを、動画配信やブログで発信予定です。

 

また会いましょう。おつまげ~

 

文:まげメガネ

アイコン作成:オモコロアイコンジェネレーター

 

↓この記事の動画版もあります↓

youtu.be

 

※まげろうさんのご意向で、今回訪れた床屋さんの所在地・店名は伏せています。
もしまげろうさんに月代を作って貰いたい方は、ネットリテラシーを十分に発揮して調べ、訪れてみて下さい。
もちろん普通のカットもやっています。